業務案内

法人関与業務

1.業務方針
中小規模の法人に対する税務サービスを行っております。
業務内容は、毎月の会社訪問により、月次決算のチェック、生産性分析、異常点分析、決算予測、税額予測、株価算定、贈与計画の実行などを月次ルーテイン業務とし、決算と法人税申告までの年間一巡業務を行います。

これらの標準的業務については、平成20年ころから電子申告と書面添付を進め、現在、決算申告のみの法人を除いて、すべての申告を書面添付の電子送信により行っています。

当事務所の特色は、顧問先の⾧所、短所を理解し、経営上のネック(資金、人的資源、固定資産)を見定めながら、税務・経営の相談に対応できる点にあると考えています。別の視点がないか、別の解決法はないか、一歩離れた距離感から答えを探す努力を心掛けています。そのスタンスを「社外番頭」と表現しています。社外取締役の概念に、会社を知り尽くした参謀の役割を重ねたつもりで、昭和の古臭さもありますが、税理士の目標として開業以来大切にしているイメージです。

税務・経営相談の範囲は、最近はさらに拡大しています。電子帳簿法の改正により、デジタルの分野が無関係では済まされなくなり、タイムスタンプのハッシュ値とは何かを関与先とお勉強しながら、というような場面が増えています。個々の会社に最適なデジタルアプローチはどんなものかは、書籍やネットには書いてありません。的確なアドバイスができているのか、自信がないのが本音ですが、分からないことが多い中で、分かったことを少しずつ増やし、関与先の着実なDX化に貢献できればと考えています。

昨年から、こちらから提案して急速に受け入れていただいた分野が、電子納税です。たまたま、当事務所の関与先法人はみずほ銀行がメインのところが多く、支店や法人業務の統合、合理化により税金の納付が不便になったことが背景となり、手始めに申告から発生する法人税、消費税、地方税、次に会社で毎月納付する源泉所得税、特徴住民税をダイレクト納付に切り替えて、好評でした。従来、申告までが税理士業務で、納付書を作成して渡せば仕事はおしまい、でしたが、すこし視野を広げてサムシングニューを提案することも仕事であると実感しました。

最後に、当事務所の基本サービスの一つは、金融機関との取引の効率化で、決算説明、担保管理、借換計画策定など、金融サービスを主体的に選択できるための工夫を重ねてきました。現在、コロナ貸出の返済局面に転換し、さらに今後、金利の上昇やインフレ、また貸出抑制が現実となることも考えながら、金融取引上の準備を進める必要があると思っています。


2.取扱業務
税務申告・・・法人税、消費税、事業税、法人住民税、及び事業所税の申告、相談、書類作成、税務調査立会
決算・・・月次決算、仮決算、本決算、勘定科目内訳明細書作成、事業部別採算資料作成、原価分析資料作成
経営相談・・・法人成り、解散・清算結了、組織再編成、合併、会社分割、子会社設立、不動産保有会社、持株会社、原価管理、予算管理、部門別管理、原単位分析、キャッシュフロー管理、資金分析、担保管理、株主問題、自己株式、事業承継、二代目教育、株価低下策、株式贈与、新規事業計画、資金循環
電帳法対策・・・電子帳簿・電子書類移行策、電子データ保存体制の構築
インボイス対策・・・登録手続、システム・帳票対応、販売先・仕入先対応、免税事業者からの仕入体制の協議、経過措置の経理対応
得意分野・・・年商10億円~30億円規模の中小製造業が関与先に多かったため、原価管理、子会社再編、株価管理などについては引出しの数を多めにそろえているつもりです。
 

 

相続業務

1.業務方針
相続において税理士の果たす役目は、相続税申告、即ち相続財産調査と評価、遺産分割のサポートまたは遺言の対応、そして申告書の作成と提出、場合により延納、物納の申請、という業務です。

当事務所の相続業務の特徴の一つは、相続財産の調査と確定作業の深度です。相続税法が税理士試験の合格科目であったこと、仕事を始めた時期が昭和末期のバブル期で相続対策が税理士の必須業務であったこと、そして勤務税理士6年目に東京国税局資料調査課の税務調査を経験したことがその後の業務方針に深い影響を与えました。それは、依頼者の収集した相続財産の資料を相対化し、客観視するための自前の技法をいかに開発するか、という問題意識で、経験の乏しい段階ですぐに構築できるわけではなく、ひたすら現実の案件に向き合って掘り下げるしかない分野です。その後独立開業して時間的余裕ができたこと、相続税申告期限が6か月から10か月に伸びたことから、少しづつ断片的なノウハウが固まって、
 時間的な軸から「資産形成年表作成」及び「⾧期連続B/S作成」
 空間的な軸から、居住歴、職務歴から「マッピング」
 5年から10年間の「金融機関資金移動表」
 名義財産判定のための「当事者生涯P/L作成」
などのアプローチが出来上がりました。同時に現在も開発中です。

特徴の二つ目は、相続人の方々に対する解説業務です。
相続人が集まり、遺産分割や遺言について話合いをする場で、ほとんど自分の意見を主張しない方や、法定相続分などの自分の権利を曲げない方が現れることは稀ではありません。それまで、父親がほとんどすべてを所有し、家族の中でモノについての権利の認識が不要であった時期から、相続を境に親子、兄弟間で権利、義務を引き受けなければならなくなるのは、戸惑いが生じるのは当然です。この不慣れの解消とともに、相続財産の不均質性を理解する工程が必要です。例えば事業承継者でない方が事業用財産である株式、貸付金、不動産(自宅は会社借入の担保物件が多い)を分割取得しても、配当や賃貸料が伴わず、売却もできないこととなり、実質的に価値のない財産を取得したことになります。居住用、事業用の財産は、上場株のような換価可能財産とは違う、この不均質性が相続の障害であり、法定相続分と現実の相続分のギャップを受け入れてもらう過程が必要です。後日、何かの機会に兄弟のどなたかから、「あの時は先生に騙されて・・・」と嫌味を言われることがありますが、笑顔で言われることで、不満が多少は解消されたと安心できます。

この解説と納得の作業に十分な時間を取らないと、「争族」が⾧引き、ハッピーな税務申告にたどり着かないこととなります。

最後に、相続税申告に特有の問題である「名義財産」について触れておきます。例えば、専業主婦の奥さんが多額の金融資産を所有していた場合、それは奥さんの父母からの相続によるものか、生前にご主人から贈与を受けていたものか、知らないうちにご主人が奥さん名義で預金をしていたものか、事情を調べて説明がつく状態に持ち込まないと相続財産は確定しません。相続税の申告は、実務上はその都度問題にされることがなかった過去の贈与の総決算を伴うものなのです。刑法の法諺「法は家庭に入らず」を生前贈与に我田引水すると相続の関所で問題となり、結果として課税の公平が保たれるというわけです。この説明と理解にも時間が必要です。

以上が、相続が起きてからの業務方針ですが、相続の前段階の相談業務もあります。現在、相続対策を考える際には、まずサステナビリティを重視し、時間をかけ、着地が相続人全員の利益となることが必要です。緊急避難策は、税務解釈上確実なもので構成されるべきで、多くを期待すべきではありません。節税材料に目を奪われず、選択と判断に議論の時間をかけるべきと考えています。

2.取扱業務
税務申告・・・相続税、贈与税申告
相続予測・・・課税シミュレーション、対策立案
相続対策・・・企業経営者の自社株、事業用財産、貸付金等の評価、分割案、対策
       不動産所有者の賃貸不動産を中心とした財産評価、分割案、対策
       給与所得者の自宅と金融資産を中心とした財産評価、分割案、対策
遺言作成・・・目的の明確化と結果予測、相続税簡易シミュレーション、再作成
二次相続・・・生前贈与計画と実行支援、資金不足対応
争族回避・・・再婚、養子など問題別対応、流動性確保、遺言・遺言執行者の確保
得意分野・・・昭和末期のバブル時代に転業し、相続対策、事業承継の立案業務を多く経験した結果、地味な対策が⾧期的有効性を有し、提案価値があると考えています。